Tuesday, June 9, 2015

ロシア向け中古車輸出のカラクリ

ロシアといえば中古車輸出のメッカともいえる場所ですが、先日、対ロシア商社を経営している先輩との会食の中で聞いた「超薄利多売」の話に驚きました。

ロシアは関税が高くなり、5年前頃から日本からの中古車輸出量がそれまでの5分の1の約10万台になりました。
(それでも十分多い量だと思いますが)
そしてその背景には、とても新規参入などできない泥沼化したマーケットがあるのです。

ロシアへの中古車輸出は、「オークション代理」といって、現地の人たちにオークションのIDを貸して自由に入札させて、成約したら手数料をもらうという商売がメイン。
これが今の「超薄利多売」ビジネスにつながっています。

先輩から聞いたところ、今の対ロシア輸出の相場は、1台落札するたびに300ドルの手数料とのこと。
100,000円の車を落札して300ドルの手数料ならまだ分かります。。
利益率も30%と中古車業界の中では高い水準です。
しかし、これが1,000,000円だったとしたらどうでしょう。わずか3%にすぎない。
しかも輸出業の場合、仕入れに伴う消費税が還付されるわけですが、その分は含まずに300ドルです。
なので、1,000,000円の商品を落札した場合、利益計算は、

(売上)1,000,000円+300ドル(30,000円)=1,030,000
(利益)30,000円

となりますが、キャッシュフローで考えてみると?

①(キャッシュイン)1,030,000円
②(キャッシュアウト)1,000,000円+消費税80,000円+リサイクル預託金10,000円(約)=1,090,000円
③(キャッシュフロー)-60,000円

となります。
②はあくまでも中古車オークションから仕入れた場合です。輸出業なので消費税とリサイクル預託金は還付されますが、還付されるのは数カ月後です。
つまり数カ月後までは完全に60,000円のマイナスキャッシュということになる。

しかもロシアの場合は年式規制があるため、1台あたりの単価は高くなるので、全体での粗利益率は3%以下になるのは必至です。。
粗利益で3%って、、、
なぜそうまでしてロシア向け中古車輸出をやめないのだろうと本気で思います。
不思議で仕方がない。

新潟に本社はあっても、ロシア向け中古車輸出はよほどのことがない限り弊社では行わないでしょう。